「読めるのに話せない」が起きる理由
フォニックスを学び、
「単語が読めるようになってきた!」
と成長を感じる瞬間があります。
けれど、その喜びも束の間、多くの子どもたちが、ある壁に出会います。
―― 「読めるのに、英語が出てこない」 ――
フォニックスを学び、文字と音の関係が分かってきたあと、多くの子どもたちが感じる違和感です。
それは、
「単語は読めるのに、英語を話すことができない」
という状態です。
英語学習のゴールは「使えるかどうか」
以前のブログで、英語教育のゴールが
「読むこと」から「使えること」へ移行している
というお話をしました。
その流れの中で、音の学習であるフォニックスは、英語の基礎力を支える、とても効果的な学習法です。
ただし、ここで一つ、とても大切な視点があります。
「音が分かる」と「使える」は、別の力
フォニックスによって身につくのは、文字を見て、音に変換する力です。
これは、英語学習の土台として欠かせない力で、ここが弱いと、読むこと自体が大きな負担になります。
一方で、英語を「使える」ようになるためには、それだけでは足りません。
必要なのは、その音や表現が
どんな意味を持ち、どんな場面で使われるのかを理解し、
実際に運用する力です。
言語は「体験」を通して身につく
これは私の考えですが、
言語は、体験を通して習得されるものだと考えています。
例えば、
“May I help you?” =「いらっしゃいませ」
英検や教科書でもよく見かけるフレーズですが、
これを幼児が、体験なしで言葉だけ覚えるのは簡単ではありません。
その場では言えても、
体験と結びついていない言葉は、記憶に残りにくく、
使える表現にはなりにくいのです。
「使う場面」をセットにする
では、どうすればいいのでしょうか。
その言葉が使われる
シチュエーションを想定して練習することです。
COISHでは定番ですが、
店員さん役とお客さん役に分かれた ごっこ遊び を行います。
店員さん:
「May I help you?」
お客さん:
「〇〇, please.」
このやり取りを、
遊びの中で何度も繰り返します。
カードを見せて
「先生のあとに続いて言ってね」
と言うだけでは、子どもたちの集中力は長く続きません。
でも、遊びを通して学ぶと違います。
「この場面では、この言葉を使う」
という体験がセットになることで、
言葉は記憶に残り、忘れにくくなります。
小学生以上でも「体験型」は有効
この考え方は、幼児だけのものではありません。
小学生以上のクラスでも、年齢やレベルに合わせて、
ゲームやアクティビティを取り入れながら学習を進めています。
例えば文法。
「これは可算名詞・不可算名詞だよ」と説明しても、
そのまま覚えている子は、ほとんどいません。
でも、
「カレーのアクティビティだよ」と声をかけると、
「あー、あれか」
と、すぐに思い出す子が多いのです。
体験と結びついた知識は、
言葉としてではなく、感覚として残ります。
フォニックスは入口、ゴールではない
フォニックスは、英語学習においてとても大切な役割を果たします。
しかし、それだけで英語が「使える」ようになるわけではありません。
音が読めるようになったその先で、その言葉を
どんな場面で、どのように使うのか
という体験を重ねていくこと。
その積み重ねが、
英語を「知識」ではなく、「ことば」にしていきます。
フォニックスはゴールではなく、
使える英語へ向かうための、大切な入口なのです。
フォニックスを学習する上で理解しておきたい「つまづき」
フォニックス学習の中で、多くの子どもが最初に出会う「音のつまずき」について、もう少し具体的にお話ししていきます。
「一音ずつは言えるのに、単語になると読めなくなる」
この現象は、なぜ起きるのでしょうか。
実はそこには、日本語で育った私たちが無意識に身につけている“音の感覚” が深く関わっています。
次回は、その背景にある考え方を、少しずつ紐解いていきます。