カテゴリー: 考えて組み立てる英語学習

英語は、どんな順序で、何を土台に学ぶかで、身につき方が大きく変わります。
COISHでは、子どもの発達や英語の特性を踏まえ、レッスンの内容や進め方を設計しています。
その考え方の一部を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

  • 1音ずつは読めるのに、単語になると読めない理由

    フォニックスは音の学習です。
    「文字を見て、その音を発音する力」です。

    たとえば、
    b は「ブッ」
    e は「エ」
    d は「ドゥ」
    というように、
    アルファベット一文字ずつの音を覚えることで、発音できるようになります。

    COISHの幼児クラスでも、
    この段階まで到達する子はたくさんいます。

    しかし、ここで一つの壁が現れます。

    それは、
    1音ずつは言えるのに、単語になると読めなくなる
    という壁です。

    「b… e… d…」と音を一つずつ言うことはできても、
    それを自然につなげて bed (ベッド)と発音することが難しいのです。

    これは、フォニックスの学習が足りないからではありません。
    多くの場合、
    音を並べることと、音をひとまとまりとして捉えることは、別の力だからです。


    音をつなげる練習へ

    アルファベットを1音ずつ覚えることは、それほど難しいことではありません。正しい口の形を作り、それを真似して練習することで、すぐに覚えていきます。

    一方で、単語として読むためには、
    複数の音をまとめて処理し、
    「一つの音のかたまり」として認識する必要があります。

    この段階では、
    頭の中での処理量が一気に増えます。

    そのため、
    1音ずつならできていたことが、
    単語になると急に難しく感じられるのです。


    フォニックス学習を進めていく中で
    多くの子どもが一度は通る道です。


    何が原因?日本語的な発音とは?

    フォニックスの「1音ずつは言えるのに、単語が言えない場合のつまづき」は、

    • 1音ずつ「止まりながら」発音している
    • 音を流す経験がまだ少ない

    ということがほとんどです。

    つまり、
    日本語的な発音の癖が、自然に出ているだけです。

    どういうことか言うと、
    日本語は、基本的に一音ずつに母音がつく言語です。
    そのため、音を「流れるようにつなげる」という感覚が薄いのです。

    たとえば、日本語で「ベッド」と発音する場合、
    それぞれの音の長さは、ほぼ同じです。

    一方、英語の bed は、
    「ブッ(子音)」「エ(母音)」「ドゥ(子音)」という構成になっています。
    音としては、母音が中心になり、
    子音は、作った口の形から生まれるごく短い音になります。

    そのため、英語はアルファベットの文字数に比例した長さで発音されるわけではなく、弱い子音は聞こえにくくなります。

    「ブッ」「エ」「ドゥ」と音を区切って発音するのではなく、
    その音を流れるようにつなげて発音することが単語を読むことなのです。

    この感覚を、子どもたちが頭で理解するのは簡単ではありません。
    そこで、説明よりも先に、自然とそう発音できるように導く練習を重ねていきます。

    この練習へと進むためには、一音ずつの音がしっかり身についていることが前提です。

    一つひとつの音があいまいなままだと、
    その先の「流れるようにつなげて発音する」ことが、
    子どもにとって大きな負担になってしまいます。

    そのため、COISHでは、数年にわたって、繰り返し取り組んでいきます。

    子どもたちが「もう知っている」と感じるくらいまで、
    練習を続けます。

    その意味で、
    COISHが参加しているスペリングビーコンテストは、
    とても効果的な取り組みです。

    1レベル約50単語のリストが、A〜Zまで26レベル。
    膨大な量の単語に触れることで、
    単語を読む力を集中的に鍛えることができます。

    テキストに載っている単語量だけでは、
    学習したフォニックスを十分に「応用するところ」まで到達できない、というのが現実です。

    フォニックスのつまずきは、
    練習量や努力だけで解決できるものではありません。

    実はそこには、子どもの発達の段階と、
    英語という言語がもつ特性が深く関わっています。

    次回は、その視点から、
    COISHが文字学習の前に大切にしている考え方を整理していきます。

  • フォニックスは万能ではない

    「読めるのに話せない」が起きる理由

    フォニックスを学び、
    「単語が読めるようになってきた!」
    と成長を感じる瞬間があります。

    けれど、その喜びも束の間、多くの子どもたちが、ある壁に出会います。

    ―― 「読めるのに、英語が出てこない」 ――

    フォニックスを学び、文字と音の関係が分かってきたあと、多くの子どもたちが感じる違和感です。

    それは、
    「単語は読めるのに、英語を話すことができない」
    という状態です。


    英語学習のゴールは「使えるかどうか」

    以前のブログで、英語教育のゴールが
    「読むこと」から「使えること」へ移行している
    というお話をしました。

    その流れの中で、音の学習であるフォニックスは、英語の基礎力を支える、とても効果的な学習法です。

    ただし、ここで一つ、とても大切な視点があります。

    「音が分かる」と「使える」は、別の力

    フォニックスによって身につくのは、文字を見て、音に変換する力です。

    これは、英語学習の土台として欠かせない力で、ここが弱いと、読むこと自体が大きな負担になります。

    一方で、英語を「使える」ようになるためには、それだけでは足りません。

    必要なのは、その音や表現が
    どんな意味を持ち、どんな場面で使われるのかを理解し、
    実際に運用する力です。


    言語は「体験」を通して身につく

    これは私の考えですが、
    言語は、体験を通して習得されるものだと考えています。

    例えば、
    “May I help you?” =「いらっしゃいませ」

    英検や教科書でもよく見かけるフレーズですが、
    これを幼児が、体験なしで言葉だけ覚えるのは簡単ではありません。

    その場では言えても、
    体験と結びついていない言葉は、記憶に残りにくく、
    使える表現にはなりにくいのです。

    「使う場面」をセットにする

    では、どうすればいいのでしょうか。

    その言葉が使われる
    シチュエーションを想定して練習することです。

    COISHでは定番ですが、
    店員さん役とお客さん役に分かれた ごっこ遊び を行います。

    店員さん:
    「May I help you?」

    お客さん:
    「〇〇, please.」

    このやり取りを、
    遊びの中で何度も繰り返します。

    カードを見せて
    「先生のあとに続いて言ってね」
    と言うだけでは、子どもたちの集中力は長く続きません。

    でも、遊びを通して学ぶと違います。

    「この場面では、この言葉を使う」
    という体験がセットになることで、
    言葉は記憶に残り、忘れにくくなります。

    小学生以上でも「体験型」は有効

    この考え方は、幼児だけのものではありません。

    小学生以上のクラスでも、年齢やレベルに合わせて、
    ゲームやアクティビティを取り入れながら学習を進めています。

    例えば文法。

    「これは可算名詞・不可算名詞だよ」と説明しても、
    そのまま覚えている子は、ほとんどいません。

    でも、
    「カレーのアクティビティだよ」と声をかけると、

    「あー、あれか」

    と、すぐに思い出す子が多いのです。

    体験と結びついた知識は、
    言葉としてではなく、感覚として残ります。


    フォニックスは入口、ゴールではない

    フォニックスは、英語学習においてとても大切な役割を果たします。
    しかし、それだけで英語が「使える」ようになるわけではありません。

    音が読めるようになったその先で、その言葉を
    どんな場面で、どのように使うのか
    という体験を重ねていくこと。

    その積み重ねが、
    英語を「知識」ではなく、「ことば」にしていきます。

    フォニックスはゴールではなく、
    使える英語へ向かうための、大切な入口なのです。


    フォニックスを学習する上で理解しておきたい「つまづき」

    フォニックス学習の中で、多くの子どもが最初に出会う「音のつまずき」について、もう少し具体的にお話ししていきます。

    「一音ずつは言えるのに、単語になると読めなくなる」
    この現象は、なぜ起きるのでしょうか。

    実はそこには、日本語で育った私たちが無意識に身につけている“音の感覚” が深く関わっています。
    次回は、その背景にある考え方を、少しずつ紐解いていきます。

  • 英語教育は「読む」から「話す」へ?

    今起きているゴールの変化


    英語教育のゴールは、
    「読むこと」から「使うこと」へと変化しています。

    話す(スピーキング)はその一部であって、
    ゴールそのものではありません。

    前回のブログでも書きましたが、長らく日本では、

    • 読む(文献・論文)
    • 訳す
    • 正確に理解する
    • 試験で点を取る

    これが最優先のゴールでした。

    理由は明確で、

    • 大学受験
    • 学術研究
    • 文献読解

    に英語が使われていたからです。

    だから、「音にできなくても、意味が分かればOK」
    という設計になっていました。


    今、変わり始めているゴール

    今は英語が、

    • 仕事で使われる
    • 海外の人とやり取りする
    • 情報を取り、発信する

    というように、「実際に使う道具」になりました。

    その結果、状況に応じて
    聞く・話す・読む・書くを使える

    つまり、今まで重要視されてこなかった、
    「話す」や「聞く」=音の力が必要になってきたのです。


    使える英語が求めらている今、何から始めるべき?

    英語教育は「読む」から「話す」へ移った、
    と言われることがあります。

    しかし正確には、
    読む・話すのどちらか一方ではなく、
    英語を「使えるかどうか」へとゴールが組み替えられているのです。

    その入り口として、フォニックスが注目されるようになってきたのです。

    だったら、「全員がフォニックスを学習すれば、英語ができるようになる!」と考える人もいるかと思います。

    フォニックスは英語の土台としてとても大切ですが、それだけで英語が伸びるわけではありません。

    次回は、フォニックス=万能ではない という現場から見える現実について、話していきたいと思います。

  • 日本の英語教育でフォニックスが後回しにされてきた理由

    日本の英語教育は、長い間「大学受験」をゴールに設計されてきました。
    そこでは、論文を読み、内容を正確に理解する力が重視されます。
    そのため、英語の「音の土台」であるフォニックスは、
    あまり注目されてこなかったのです。


    日本の英語教育は、長い間、

    • 大学受験
    • 学術論文
    • 文献読解

    をゴールに設計されてきました。

    ここで求められる英語力は、

    • 正確に意味を取ること
    • 文構造を理解すること
    • 語彙と文法を使って読むこと です。

    これらを裏返して考えると、
    そこでは次のような前提があったとも言えます。

    • 「音が出せるかどうか」は必須条件ではない
    • 黙読できれば、試験は突破できる

    その結果、英語学習は

    • 文法
    • 語彙
    • 和訳

    を中心に進められるようになり、
    「音の基礎」であるフォニックスは、優先順位が下がっていった
    と私は考えています。


    では、その前提は、今も本当に正しいのでしょうか。

    英語が「使うもの」になった今、
    私たちはどんな力を、子どもたちに身につけてあげるべきなのでしょうか。

    次回のブログでは、
    英語教育のゴールが変わり始めている今、
    フォニックスがなぜ注目されているのか
    を、
    現場の視点からお話ししたいと思います。

  • なぜフォニックスは英語学習のブースターになるのか?

    前回の記事では、フォニックスが「文字と音の関係を学ぶ学習」であることをお伝えしました。

    では、フォニックスを学ぶことで、なぜ

    • 正しい発音
    • 正確な聞き取り
    • 単語を覚えるスピード

    が伸びていくのでしょうか。

    結論から言うと、フォニックスは
    「英語を音で処理する力」を育てる学習だからです。


    ① 正しい発音につながる理由

    フォニックスでは、アルファベットやつづりごとに決まった「音」を学びます。
    そのため、単語を「なんとなく」ではなく、ルールに基づいて発音するようになります。

    発音記号を覚えなくても、
    「このつづりなら、この音」という感覚が自然に身についていくのです。

    ② 正確な聞き取りにつながる理由

    聞き取りは、実は「耳」だけの問題ではありません。
    自分が出せない音は、聞き取ることも難しいのです。

    コイッシュでは、大人の生徒さんに向けて、
    「自分が発音できない音は聞き取れない」ということをお伝えし、繰り返し一緒に発音練習をすることで、リスニング力が伸びていく様子が見られます。

    フォニックスで音の違いを学ぶことで、
    日本人が苦手とする

    • /b/ と /v/
    • L と R

    といった細かな音の違いにも、自然と気づけるようになります。

    結果として、聞き取りの精度が上がっていくのです。

    ③ 単語を覚えるスピードが速くなる理由

    フォニックスを学んでいる子どもたちは、
    新しい単語に出会ったとき、一文字ずつ音に変換しながら読むことができます。

    つまり、英語をカタカナに置き換えることなく、
    英語を英語のまま読む力を育てているのです。

    これは、丸暗記ではなく

    「読める → 発音できる → 記憶に残る」

    という流れができていることも、大きな相乗効果になっています。そのため、語彙が増えるスピードも、自然と速くなっていきます。


    教室で感じる変化

    実際に教室でも、フォニックスを継続して学んでいる子どもたちは、初めて見る単語でも立ち止まらずに読もうとします。

    「分からないから止まる」のではなく、
    「音を当てはめて読んでみよう」とする姿勢が育っているのです。

    では、ここまで効果があるフォニックス学習ですが、
    日本の英語学習の中では、どのような位置づけなのでしょうか。

    次回のブログでは、
    「これほど効果があるにもかかわらず、なぜ日本の英語教育ではフォニックスが重要視されてこなかったのか?」
    という視点から、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。

  • フォニックスって何?

    文字と音の関係を学ぶ=フォニックス

    英語を学ぶとき、
    「この単語、どうしてこう読むの?」
    「見たことない単語なのに、なんとなく読めた!」
    こんな経験はありませんか?

    その“違い”を生み出しているのが、フォニックスです。


    最近では、「フォニックス」という言葉も、英語学習者の間で少しずつ知られるようになってきました。特に、英語教育に関心のある親御さんであれば、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

    フォニックスとは、英語の「文字」と「音」の関係を学ぶ学習法です。

    英語のアルファベットは26文字ありますが、それぞれの文字には

    • 文字の名前
    • 音(発音)の2つがあります。

    たとえば、「A」という文字。
    文字の名前は「エィ」、音は「ア(æ)」です。

    A / B / C / D を文字の名前で読むと、
    「エィ/ビー/シー/ディー」となります。

    一方、フォニックスの「音」で読むと、
    「ア/ブ/ク/ドゥ」となります。

    日本語のひらがなでは、「あ」という文字は、文字の名前も音も同じ「あ」ですよね。
    そのため、日本語を母語とする私たち大人にとっては、この違いがなかなかピンときません。

    でも――
    大人がピンとこない、ということは、子どもたちも同じです。

    多くの子どもたちは、フォニックスという仕組みを知らないまま学校の英語に出会います。

    • 発音のルールを知らない状態で
    • 単語のつづりと読み方を同時に
    • とても速いスピードで

    覚えることになるのです。

    実はフォニックスは、どの年齢から学び始めても、英語力の土台を大きく支えてくれる学習法です。


    コイッシュでは、最年少の幼児クラスからフォニックスを取り入れ、大人のクラスでも学習しています。

    また、幼児から小学生までの間は、フォニックスの知識を競うスペリングビーコンテストに参加し、子どもたちが「音」と「つづり」を意識して学ぶ機会を大切にしています。

    特に、スペリングビーコンテストに出場できるレベルまで到達した子どもたちは、

    • 正しい発音
    • 正確な聞き取り
    • 単語を覚えるスピード

    これらが明らかに速くなっていることが分かります。


    では、なぜフォニックスを学ぶと、英語がこんなにも楽になるのでしょうか。

    次回のブログでは、
    フォニックス学習がなぜ英語学習の「ブースター」になるのか
    その理由を、もう少し深くお話ししていきたいと思います。